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2016-11-1 左右分離型メカニカル キーボード Mistel Barocco MD600-RUSPLGAA1 の所感

左右分離型メカニカル キーボード Mistel Barocco MD600-RUSPLGAA1 の所感

更新履歴
初めに

公開されているマニュアルに記述されていたプログラミング (マクロの登録) 手順が POK3R と同じであることに気付き、使用中の Poker II の上位互換品として使えるのではと考え、赤軸にも触ってみたかったので購入。ある人に聞いた、液晶ペンタブレットの左右にキーボードを分割して置くというスタイルにも興味がありました。

以下、マニュアル (PDF 形式, 819KB) と販売代理店のアーキサイトが公開している Q&A からは読み取れなかった情報を主に書いています。
前提としているファームウェアは V1.04.01 です。購入時点では V1.01.02 でした。アップデート プログラムは Mistel Keyboard > FIRMWARE UPGRADE で公開されています。

Mistel Keyboard の Barocco MD600-RUSPLGAA1 の全体図

いきなり余談ですが、左右のキーボードを同時に使う場合、PC との接続用の Mini USB ケーブルは右側のキーボードに繋げなければなりません。最初、左に繋げてしまって動かずにちょっと焦りました。マニュアルにはその旨の記述はないのですが、アーキサイトの Q&A にはあります。そういう訳で Q&A にも目を通しておいた方がいいです。

黒軸から赤軸への移行なのでタイプ感はそれはもう軽く感じます。PBT キーキャップの触り心地も相変わらず良。撫で打ちも黒軸より繊細な力加減が必要ですが十分可能です。

プログラミング (マクロ) 機能について

ファームウェア V1.02.00 まではプログラムしたキーストロークは登録先のキーを押下している間だけ順次出力されるという形だったのですが、V1.03.02 からは 1 ストロークだけプログラムしたなら登録したキーその物と同じように振る舞い、2 ストローク以上ならすべてのストロークを一回のタイプで出力し切るようになりました。また 2 ストローク以上の時、キーを押下し続けてもストロークは繰り返されません。

一つのキーに対して最大で 32 のキーストロークを登録できます――とマニュアルに書かれているのですが、試したところ 128 ストロークまで登録できました。129 ストローク目を入力すると登録が中断され、登録先のキーのプログラムが初期化されます。A キーに 1234 とプログラムしており、改めて 129 ストローク分をプログラムしようとすると、A キーの出力が "a" に戻るということです。
修飾キー等々もストロークに数えられるといった説明が面倒でザックリ 32 と表現したとかでしょうか。

プログラミングは FN+右 Ctrl → 登録先のキーをタイプ → キーストロークの入力 … という手順で行うのですが、登録先に既にプログラムされている場合は [登録先のキーをタイプ] の手順を二度踏む必要があります。下手にプログラムを書き換えてしまわないようにとの配慮からでしょうか。

キー別にプログラムを初期化したい時は、キーストロークの入力まで進め、何も入力せずに PN キーを押して登録を完了すれば初期状態に戻ります。……と言うかプログラムが空だと既定の機能が発火するようになっているとかかな?

出力には Caps Lock の状態も反映されます。A キーに abCD と登録したとして、Caps Lock を on にして A キーをタイプすれば ABcd と出力されます。

ストロークにレイヤの切り替え (DEFAULT, LAYER 1~3) 機能は含められません。含めようとしても無視され、ストローク数にもカウントされません。単独で登録するとよく分からないストローク (以前に登録していた内容の一部?) が出力されます。

FN キーを単独で登録することはできません。PN キーについても、そもそもプログラムの完了を示すキーなので押した瞬間に登録が終わるので含められません。修飾キーと併用した場合も同様で、その場合は修飾キーだけが登録されます。

2 ストローク以上に Space キーを含める場合、左側のキーボードの Space キーを用いると F16 キーが登録されますa(左側の Space)b(右側の Space)c とプログラムしたなら a(F16)b c と出力されるということです。1 ストローク、詰まり左側の Space キーだけを登録した場合は普通にスペースが出力されます。

プログラム先に出来るキーについては以下の写真を参考にしてください。青いキーがプログラム可赤いキーが不可です。

通常レイヤ
上から撮った Barocco の全体図。各キーに対してプログラムできるか否かを、キー毎に青 (可)・赤 (不可)・緑 (条件付きで可) と色分けして表している。

FN レイヤ
上から撮った Barocco の全体図。各キーに対してプログラムできるか否かを、キー毎に青 (可)・赤 (不可)・緑 (条件付きで可) と色分けして表している。

緑にしているキーについては条件付きだったり挙動が特異だったりする為、個別に説明します。

FN, PN キーは後述するFN または PN ポジションの変更によって FN, PN の機能を他のキーに逃がした場合にのみプログラム先にできます。但し、ポジションを変更しても尚、既定の FN ポジションである右 Windows キーの通常レイヤにはプログラムできません。
また当然ですが、新しく FN, PN ポジションになったキーはプログラム先にできません。

FN+A キーは 1 ストロークだけプログラムしても既定の機能であるキーレイアウトの変更が機能し、2 ストローク以上の場合にのみプログラムした内容が出力されます。バグだと思う。

FN+R キーはプログラムした内容と既定の機能である「5 秒間押し続けると現在のレイヤの設定を初期化する」という機能とが同時に動きます。

FN または PN ポジションの変更について

FN, PN キーはマニュアルにあるFN または PN ポジションの変更という項にある手順で機能を別キーに移動させることが可能で、移動させた場合、既定で FN, PN ポジションであるキーはそれぞれ Windows, Application キーになります。

V1.02.00 では FN キーを FN ポジションではない状態にして PN ポジションにする、或いはその逆も出来なかったと記憶しているのですが、V1.03.02 からは可能です。以下は既定の FN, PN ポジションを交換する例です。

  1. FN+左 Shift 長押し, FN, A で A キーを FN ポジションにする
  2. PN+左 Shift 長押し, PN, FN で FN キーを PN ポジションにする
  3. A+左 Shift 長押し, A, PN で PN キーを FN ポジションにする

PN キーは主に RGB モデルの LED のカスタマイズに使うようで、非 RGB モデルだとプログラムを完了するキーとしてしか使い道がなく、PN ポジションであるキー自体にプログラムすることもできません。Poker II で A, FN+A, PN+A, PN+FN+A と使い分けていた身からすると残念です。

Shift+Esc キーについて

マニュアルに左 Shift + Esc = ~ (チルダ)(※実際には右 Shift でも同様) とあるように、V1.03.02 以前は Shift+Esc でチルダを出力するようになっており、本来の Shift+Esc とは認識されず、例えば Ctrl+Shift+Esc でタスク マネージャを開く等ができなかったのですが、V1.04.01 で Shift+Esc でチルダを出力するという機能は廃され、本来の Shift+Esc として機能するようになりました。チルダは他のコンパクト キーボード同様、Shift+FN+Esc キーで打つことができます。

その他

左 Win + 右 Alt + Space キーでキーボード右下の Shift, FN, PN, Ctrl キーを方向キーに出来るのですが、この時の Space キーは右側のものを押す必要があるようです。

Windows 10 Pro x64 ver 1607 build 14393.351 環境で CAL キーを押しても電卓が立ち上がらなかったのですが、これも V1.04.01 で立ち上がるようになりました。

FN キーを押しながら修飾キーを押せば当然修飾キーの FN レイヤに割り当てられている機能が動く訳ですが、その関係で FN+IJKL (方向キー) を押した後から修飾キーを足しても Ctrl/Shift/Alt+(FN+IJKL) とはならなかったのが、V1.04.01 からは修飾キーの FN レイヤの既定の内容を通常レイヤと同じに――例えば FN+Ctrl も Ctrl と――することで FN キーを押した後から修飾キーを足せるようになっています。
……と言うか、解決方法が成る程といった感じ。思いつきませんでした。V1.03.02 以前も自分で同じことをすれば対処できたのかな? 勿論、FN+修飾キーに他の何かがプログラムされているならばそちらが機能します。

終わりに

登録できるキーストロークの多さが兎に角嬉しい。僅か 14 キーストロークだった Poker II でさえ便利だったので猶更です。レイヤ機能で登録先も多い。キーレイアウトをハードウェア側で Qwerty, Dvorak, Colemak と手軽に変更できるのも人によっては堪らない点だと思います。

Poker II のように PN キーとの併用でプログラムが発火する訳ではなく、V1.02.00 までは FN レイヤの大部分にもプログラムできなかった為、多くのプログラムを扱うにはレイヤを切り替える運用が必要かと億劫でしたが、V1.03.02 でプログラム先の制約も大分緩くなりました。

2017-3-26 現在、FN レイヤのキー配置の Poker II との違いにも慣れ、ファームウェアのアップデートによる細やかな改善も続いており、良いキーボードに巡り会えたと満足しています。

余談. 液タブの左右に置いた運用

左右のキーボードを繋ぐバネ状の Micro USB ケーブルを伸ばすのが諦めを考えるレベルで大変ですが、13HD の幅までなら可能です。ちょっとだけやりました。でも大変です。無心で一時間ほぐし続けました。元の綺麗なバネ状には二度と戻らないでしょう。市販のケーブルでも使えるんじゃって気もするのでチャレンジしたい方は別途ケーブルを用意して試してみた結果をネットのどこかに書いてほしいです。

キーボードの位置を殆ど動かせないくらいバネが強く、諦めて一旦普通の配置に戻してしまったので使い勝手は未だ分かりませんが、いつかまたチャレンジしてみたいと考えています。そんな段階。