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2014-8-4 Razer Naga 2014 Left-Handed Edition を 9 ヶ月使っての感想

Razer Naga 2014 Left-Handed Edition を 9 ヶ月使っての感想

故障したものと新しく届いた Razer Naga Left-Handed Edition を並べて上から撮った写真その 1。右の LED が点いている方が新しいもの

相変わらず暗い上にノイズが多い写真です。ごめんなさい。

購入した理由

ペンタブレットと同時に使えるようマウスは左手派で、ボタン数が多ければ左手用補助デバイスとしても兼用できるのではとの考えから目を付け、購入しました。

液晶ペンタブレットの Cintiq 12WX を使っていた頃は、12WX に備え付けられている左右のトラックパッドが優秀で、ブラシ幅とビューの拡縮を割り当てて使っていました。私はペンタブレットを膝に抱えて使うスタイルで、故にペンタブレットを支える手の親指が当たる位置にトラックパッドが来て操作し易かったのです。ペンを走らせた儘に、親指でなぞる具合に応じて大雑把にも細かくも拡縮できました。

Cintiq 13HD ではトラックパッドが失くなった為、暫くはキーボードを使っていたのですが、キー操作では拡縮の速度 (キーリピート) が等間隔であることと、キーリピートが始まる寸前の僅かな "間" に耐えられず、マウスのホイールなら代替になるのではとの期待もありました。

左手用補助デバイスとしての感想

サムグリッド――右側面の 12 ボタン――に初めて触れた時は、とても使い分けられるようになる気がしませんでしたが、ほぼ同時期に購入したゲームの Minecraft で、ホット バーの切り替えをサムグリッドで行っている内に慣れ、お絵描きの際の補助ボタンとしても十分に使えるようになりました。

統合設定ソフトウェアの Synapse 2.0 がキーマップの一時的な――ボタンを押下している間だけの――変更をサポートしている為、割り振れる機能数は非常に多いです。但し、キーマップの一時変更を当てるボタンと持ち方によって、同時押しが困難になるボタンも出てきます。私の例だと、ホイール後ろの 2 ボタンは指を曲げずに人差し指 or 中指の第一~二関節で押下する為、そこに割り当てるとホイールが僅かにしか回せなくなります。サムグリッドに割り当てると、人差し指を強引に割り込ませでもしないと一部のボタンしか同時押しできません。左ボタン (右手用で言う右ボタン) に割り当てれば、残りのすべてのボタン・ホイールを無理なく使えて良いのですが、右クリックを他のボタンに逃がすことに慣れられる気がしなかったので、諦めてサムグリッドに割り振りました。Logicool (Logitech) の G600 の G シフト ボタンが羨ましくなった瞬間です。

前節で書いたホイールによる拡縮の具合ですが、マウスのホイールでは直径が小さいと言うか一回転で 24 ノッチでは足りなく、ブラシ幅を一気に大きくして大雑把に塗り、再び一気に小さくして細かく……といった操作をするには必要な回転量――指を曲げ伸ばしする回数――が多過ぎて面倒でした。キーマップの一時変更を活用して同時押しした時のみ拡縮量を増やす、なんて手も試しましたが、一つの操作方法で大雑把さと細かさを混在させられるトラックパッドの快適さには及びませんでした。

結局、大きなジョグ ホイールを持つ ShuttlePRO v2 を別に導入しました。只、マウスならではの利点として、一々ペンタブレット側でマッピング対象のモニタを切り替えたり、絶対・相対座標モードを切り替えなくても、マウスを滑らせるだけで別モニタの操作に行けるのが非常に楽ちんでした。今でも間々左手用補助デバイスとして使うことがあります。使い物にならないということは決してありません。

Minecraft で使うマウスとしての感想

移動キーから指を離さずに、サムグリッドでホット バーを切り替えたり、インベントリで任意のスロットにアイテムを出し入れできるのが凄く便利。移動・ジャンプ・視点の回転と並行しての切り替えが容易に出来ます。十数ボタンも付いていないマウスでも一部のスロットへの切り替えは割り振っているという方が居ると思いますが、それがすべてのスロットに対して出来ると RTA 等の素早い操作が必要なプレイでかなり助けられます。後述しますが、一度 Naga が故障して繋ぎに G300 を使っていた時に「物理的にボタン数が少ないマウスではもうやっていけないかも」と感じました。ホイールを回し過ぎて目的のスロットを通り過ぎるといったミスも減ります。

マインスイーパをペンタブレットで遊ぶと「此れってハードウェア チートじゃないの? (実際どうかは知らない)」と不安になるくらい素早く操作できますが、同じ感覚です。

大抵のゲーミング マウス同様、クリック ロックや連射も組めるので、通常プレイに於る木の伐採や、クリエイティブ モードでブロックを高速で破壊する際の指・マウスへの負担が軽減されます。但し、マクロの記録は普通に操作すると、ボタンやキーの押下・押下の解除をセットでしか追加・削除できません。クリック ロック等を実現したい場合は、%ProgramData%\Razer\Synapse\Accounts\AM_*\Macros フォルダにある XML ファイルを直接編集するか、左クリック以外であれば、押下したまま [記録 (RECORD)] を始めたり [停止 (STOP)] することで押下・押下の解除の一方だけを追加できます。

Minecraft との相性は良いの一言ですが、サムグリッドの使い分けに就いては前節の通り、慣れるまでに時間が掛かります。一ヶ月は見ておいた方がいいかも。慣れないボタンに対応するスロットに、メイン (剣) ではないが頻用するアイテム (松明) を入れておき、指を慣らすのがお勧め。

使用しているプロファイルとキーマップの設定

感想を補完する材料として挙げます。

プロファイル: defaultキーマップ
123456
左ボタン右クリック
右ボタン左クリック
ホイールの押下プロファイルの変更: MinecraftCtrl + Num [+]Triple left clickプログラムの起動: RzSynapse.exe-
ホイールの回転: 奥上スクロールShift + Ctrl + TabPage UpShift + Alt + EscShift + Windows + T音量アップ
ホイールの回転: 手前下スクロールCtrl + TabPage DownAlt + EscWindows + T音量ダウン
チルト ホイール: 左左スクロールAlt + 1Alt + ←-Application-
チルト ホイール: 右右スクロールAlt + 0Alt + →Space
ホイールの後ろのボタンダブル クリックF5Alt + ↑Windows
↑の更に後ろのボタンホイール クリックEscAlt + ↓Alt + F4Esc
サムグリッド1キーマップの一時的な変更: 2キーマップの変更: 1--Windows + 1
2キーマップの一時的な変更: 3-キーマップの変更: 1Windows + 2
3Ctrl + T-Windows + 3
4HomeWindows + 4
5EndWindows + 5
6Ctrl + F4Windows + 6
7CtrlWindows + 7
8ShiftWindows + 8
9AltWindows + 9
10キーマップの一時的な変更: 4キーマップの変更: 1-
11キーマップの変更: 5-キーマップの変更: 1
12キーマップの一時的な変更: 6-キーマップの変更: 1
プロファイル: Minecraftキーマップ
12
左ボタン右クリックTurbo right click
右ボタン左クリックTurbo left click
ホイールの押下プロファイルの変更: default-
ホイールの回転: 奥上スクロール
ホイールの回転: 手前下スクロール
チルト ホイール: 左ホイール クリック左スクロール
チルト ホイール: 右Esc右スクロール
ホイールの後ろのボタンダブル クリックF5
↑の更に後ろのボタンLock left buttonF1
サムグリッド11左クリック
22右クリック
33
44
55
66
77
88
99
10E0
11キーマップの一時的な変更: 2キーマップの変更: 1
12QTrubo q key

ホイールの押下が重いマウスが多くて別のボタンに逃がすことが多いです。特に G300。ダブル クリックは簡易な連打機能としても使えて便利。

default プロファイルに関して、2 以降のキーマップでサムグリッドを殆ど使っていないのは「左手用補助デバイスとしての感想」の節の通り、同時押しが困難なのとホイールの機能を切り替えたいという希望の方が大きかったからです。キーマップ 5 のみ押下中のみの変更ではないのでサムグリッドも使っています。

Triple left click, Windows キーと他のキーとの組み合わせ, Turbo ~ に就いてはマクロです。Turbo q key は記入済みの本を量産するのに使用。

統合設定ソフトウェアの Synapse 2.0 (version 1.18.15) に就いて

Synapse 2.0 のインストール後、先ず Razer ID の作成 or ログインを要求され、その後にアップデートが行われる (キャンセル不可) 為、オンラインでなければ Synapse 2.0 が働く状態にまで持っていけません。一度ログインし、アップデートが完了した後はオフライン モードを継続的に使えますが、完全なオフライン環境にある PC への導入は難しそうです。

マウスの各ボタンとホイールには既定で割り振られている機能があるので、カスタマイズが不要であれば Synapse 2.0 を導入する必要はありません。既定で割り振られている機能に就いては Razer Support » Peripherals » Mice » Razer Naga 2014 » Master Guide からダウンロードできる PDF の 5~6 ページ目に載っています。

Razer ID の破棄の仕方が分かりません。調べが付かないのは自身に英語力がない所為でしょうが、若しかしたら Razer Support に問い合わせる形で行うのかも。パスワードの変更は Synapse 2.0 上で、メアドの変更は My Account からだろうか。後者に就いては試していないので自信なし。2014-10-2 16:41:17 追記: メール アドレスの変更に就いては FAQ > GeneralHow can I change the email address I have associated with Synapse?に、現状では出来ないので新しく Razer ID を取得して設定を移してくださいと書かれていました。

後ろで色々やっているそうで Synapse 2.0 を導入すると Windows が起動してスタート画面 or デスクトップが表示されてから安定する (同時に何か行おうとすると普段より時間が掛かるあのタイム) 迄が 2~3 秒伸びます。

同じ型番のデバイスに別の設定を持たせることは出来ません。2 台目は 1 台目が故障したから導入しただけの自分には好都合でしたが、人によっては不便かも。

2014-9-19 09:08:06 追記: 通常版 (RZ01-01040100-R3U1) と Left 版 (RZ01-01050100-R3M1) になら別の設定を持たせられるだろうと思い "型番" という表現を用いたのですが、出来ない旨の書き込みを見掛けました。

通知領域のアイコンのメニューにあるプロファイルを切り替える項目の名前は、言われてみれば Left 版にも拘らず単に "Razer Naga 2014" になっており、通常版と使い分けられない臭い。

通知領域にある Razer Synapse 2.0 のアイコンをクリックしてメニューを表示させたところ。使っているのが Left 版にも拘らず項目名が単に "Razer Naga 2014" になっている。

Synapse 2.0 の認識されているデバイスが列挙される欄には Left 版の名称とアイコンが表示されているし、%ProgramData%\Razer\Synapse\Accounts\AM_*\Devices\Naga 2014\Profiles フォルダにプロファイル毎に保存される XML ファイルにも <DeviceName>Naga 2014 Left-Handed</DeviceName> とあるも、親フォルダの名前が "Naga 2014" だし、PID の 0x40 (64) も検索してみたところ通常版と同じ値っぽい。

Razer Synapse 2.0 の GUI の下部――認識されているデバイスが列挙される部分のスクリーン ショット。Naga は左手用のアイコンと名称になっている。

仮に通常版の設定画面でプロファイルを追加すると Left 版にも追加されているっちゅーか同じ設定を参照するということでしょうか。通常版を所有していないので確かなことは分かりませんが、併用を考えている方はよく調べてからの方がよさそうです。

経験するまで実用性を疑っていたハイセンシが思いの外便利でした。RTA をやっていると真後ろを向きたくなることが多く、手が疲れるから DPI を上げるということを繰り返していたら 3,700 DPI に。普段使いは 1,600 DPI で収まっていたのですが、ゲームでもインベントリの操作は普通にマウス ポインタを動かして行う訳で、そこで慣れてしまうと 1,600 DPI では重く感じ、結局ゲームと同じ DPI に。ローとハイの何方が良いとかではなく、Synapse 2.0 だけで 100~8,200 DPI と幅広い値が使えるのは凄く助かります。

マウス マットの表面識別較正 (SURFACE CALIBRATION) を on にして且つ調整 (Calibrate) を終えていると、キーマップの変更直後、概ね一秒未満に再びキーマップを変えようとした時に変更に失敗します。但し、オプションの「このボタンを離すと前のキーマップへ戻ります (Switch back to previous keymap when this button is released)」に於るキーマップを戻す動作に就いては問題ありません。Synapse 2.0 の GUI を表示した状態で現象を確認すると、変更に失敗しても画面は再描画されており、反応はしているようです。2015-9-19 18:20:12 追記: 調整した較正が有効だとキーマップの変更に失敗することがある件は version 1.18.21.27405 で再現しなくなりました。

較正関係で大したことではありませんがもう一点。調整 or 再較正 (Recalibrate) を行う時、「左マウス ボタンをクリックして、ジグザグにマウスを動かします。」と案内が出ますが、左手版の場合は右マウス ボタンです。要するにクリックしろと言うことなのだから左クリックを割り当てているボタンだろうと直感的に分かる人が大半でしょうが、恥ずかしながら分からず、幾ら左ボタンをクリックしてもキャリブレーションが始まらなくて戸惑いました。

Logicool® ゲーム ソフトウェア (以下 LGS) では出来ないホイールの回転への機能の割り振りが出来ます。タブの切り替えや音量調節もホイールで片付けたい私としては嬉しい点。只、此れを以て Synapse 2.0 の方が LGS より優秀とは言いません。

例えば、Synapse 2.0 ではプロファイルを関連付けていないプログラムがアクティブになった時、自動的には default プロファイルに切り替えられません。手動でスイッチするか、次善の策として default プロファイルを explorer.exe に関連付けておいてはというアドバイスをよく見掛けます。2014-10-20 22:05:53 追記: version 1.18.17 に於て、リンクされたプログラムが非アクティブになると共に、Synapse 2.0 の GUI 上で最後に直接選択したプロファイルに戻る仕様になりました (追記時点では「前にアクティブだったプロファイルに戻る」としていたが Razer peripherals thread 17©2ch.net>>741 さんの書き込みを見て誤っていることに気付き、2015-4-25 19:31:31 に訂正)

LGS はコマンド パレット方式で、使いたいコマンド (LibreOffice Writer や CSS で言うスタイル規則) をプロファイル単位で定義・列挙してから実際にボタンに割り振るという形になっています。あるコマンドが各モード (Synapse 2.0 で言うキーマップ) で使われている場合、定義の方を修正するだけで済みます。扱いたいモードやボタンの数が増える程にカスタマイズは面倒になるものですが、此の仕様のお蔭で幾らか楽です。地味な点ですが、パレットの内容を修飾キーで複数選択できたり Delete キーで削除できる辺りも作りが丁寧に感じます。当然の挙動に思う人が多いかもしれませんが、ゲーミング マウス用のソフトウェアって独特なインタフェースであることが多く、キーボード操作に余り対応していなくて終始マウスでカチカチさせられることが多い印象です。要するに Synapse 2.0 もそれで、只でさえボタン数が多い Naga のカスタマイズの面倒さに拍車を掛けています。

只、LGS も Synapse 2.0 も設定が XML ファイルになっているので、値が把握できればテキスト エディタで片付けられます。

耐久性
故障したものと新しく届いた Razer Naga Left-Handed Edition を並べて上から撮った写真その 2

購入から 5 ヶ月目でホイール後ろのボタンが、クリック感はそのままに反応し辛くなりました。クリック音は鳴るのですが、そこから更に力を加えないと機能が発火しないのです。押す角度や力の加え具合を変えて、数度発火させると暫くは幾らか真面に使えます。一日置くと再び反応し辛くなり、酷い時は体重を掛けても反応しませんでした。ダブル クリックを割り当てていて Cookie Clicker や (ズルしてごめんよ!) Minecraft で頻用していたのが寿命を縮めた原因かもしれません。

9 ヶ月目でレーザーセンサーが狂いました。マウスを右に動かすと、間々ポインタが左に飛び、どれだけ右に動かし続けても画面上の右端に到達できないという有様に。また、斜め 30 度程に動かすと階段状に大きくブレ、視点移動をマウスで行うゲームでは使い物にならなくなりました。と言うか、普段使いでもキツかったです。ダイアログのボタンにポインタを合わせることさえ困難なレベル。

Synapse 2.0 での較正の on/off の切り替え、DPI の上げ下げ、マットの変更、USB ポートの変更、公式の Q&A を参考に消毒用アルコールを綿棒に付けてセンサー部の掃除、英語でやり取りする自信はなかったので保証はとっとと投げ捨てて分解しての掃除と色々試すも変わりなし。UEFI 上や Synapse 2.0 が導入されていない別 PC で確認しても同様で、室温によってポインタの飛び具合が変わることに気付いた辺りで諦めて 2 台目を注文しました。

自分でも負担が掛かっているなと感じる使い方で「9 ヶ月」という寿命は今一ケチを付け辛いラインですが、本音を言うと価格が価格なので納得し切れてはいません。2 台目がどれだけ持つか不安。同じ部分が壊れなければ 1 台目の部品を使い回せる可能性があるし、何より左手用で此れだけのボタン数を持つマウスを他に知らないので、再現性はあってほしくない。でも、例えば格ゲをやり続けてコントローラが不具合なく 9 ヶ月持つかと言われると疑問なので仕方のない結末かもとも。

マウスの触感に就いて。ザラザラですが使っている内にその触感が薄くなりました。普段使いでは手汗は掻きませんが、長時間のゲーム プレイだと掻くことがあったのでその所為かも。

何れに就いても、ゲームで遊ばなければ状態をもっと良く保てたのではという印象です。

終わりに

Left 版は Razer Store からの購入で送料合わせて ¥10k。此の金額で、また一年経たずに壊れるかもという不安を抱きつつも再注文してしまう程に好みのマウスでした。長く取り扱いが続くと嬉しいな。